パリOER宣言の日本語訳

序文

世界OER会議 開催場所 UNESCO, パリ 2012年6月20日~22日

* 2012パリOER宣言は、下記の関連する国際宣言の内容を受けて、UNESCO世界OER会議(開催期間:2012年6月20日~22日、開催場所:フランス共和国パリ市)で採択されたものである。

●すべて人は、教育を受ける権利を有する

●「世界人権宣言」(The Universal Declaration of Human Rights)第26条1

●教育に対する万民の権利

●「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(The International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights)第13条1

●「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(1971年)」(The 1971 Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works)および「著作権に関する世界知的所有権機関条約(1996年)」(the 1996 WIPO Copyright Treaty)

●質の良い基礎教育をすべての子供、若者、成人に提供するための世界的な取り込み

●「国連ミレニアム宣言」(The Millennium Declaration)

●「2000年ダカール行動枠組み」(The 2000 Dakar Framework for Action)

●万民が情報と知識を創出・アクセス・利用・共有できる、市民中心型で、包括的、開発志向型情報社会の建設への関与

●「情報社会に関する世界サミット:原理宣言(2003年)」(The 2003 World Summit on the Information Society, Declaration of Principles)

●「多言語主義とサイバー空間への普遍的アクセスに関するUNESCO勧告(2003年)」(The 2003 UNESCO Recommendation concerning the Promotion and Use of Multilingualism and Universal Access to Cyberspace)

●世界中の豊かで多角的に表記された文化、表現という意味での教養の入手、相互理解の奨励、および相互理解の奨励する資源への平等な機会の提供

●「文化的表現の多様性の保護と促進に関するUNESCO会議(2005年)」(The 2005 UNESCO Convention on the Protection and Promotion of the Diversity of Cultural Expression)

●教育に対する障害者の権利

●「障害者の権利に関する会議(2006年)」(The 2006 Convention on the Rights of People with Disabilities )第24条

●成人の学習および教育の基本的役割

●「成人教育に関する第6回国際会議宣言」(The declarations of the six International Conference on Adult Education, CONFINTEA)

* ここで、オープン教育資源(OER)とはUNESCOの2002オープンコースウェアフォーラムで作成され、次のように規定されていることを強調する。オープン教育資源(OER)とは、パブリックドメインもしくはオープンライセンスで提供されているデジタルやそれ以外にかかわらず、いかなるメディアで構成される教え、学び、そして研究教材である。ここで、オープンライセンスとは、(教材の権利者以外の)他人に対して制約のある、もしくは無い場合の教材への無償でのアクセス、利用、改変および再配布を認めるライセンスであり、関連する国際協定および権利者への作品に対する尊重から定義される現存の知的所有権の枠組みで築かれるものである。

* 既存のOERに関する宣言やガイドライン、すなわち2007年ケープタウンオープン教育 宣言、2009年OER ダカール宣言、および 2011 年学びの共同体(Commonwealth of Learning) およびUNESCO による高等教育におけるオープン教材のガイドライン(Guidelines on Open Educational Resources in Higher Education)等に鑑み、

* 公開教育資源(OER)が上記の国際宣言の目的達成を促進することに言及し、

* 各国がその能力と権限の範囲内で以下を行うことを勧告(recommend)する。

a. OERに対する意識を高めその利用を育む
公教育、インフォーマル教育を問わず、生涯学習の観点から、すべての段階の教育へのアクセスを広げるために、OERを推進し利用する。これによって、社会的包容力(social inclusion), 男女平等および特別支援教育に貢献する。OERの利用拡大により、教育と学習成果の費用対効果およびその品質を同時に改善する。

b. 情報通信技術(ICT)を利用可能な環境を促進する
適切な社会基盤を開発することで、デジタルデバイド(デジタル格差)の橋渡しをする。より具体的には、適切な価格の広帯域接続、移動体技術の普及、信頼できる電力供給である。メディアと情報のリテラシーを改善し公開された技術標準でのOERの開発と利用を推奨する。

c. OERに関する政策と戦略の開発を強化する
教育高度化のためのより広い戦略の一環として、OERの制作と利用に関する個々の政策の開発を促進する

d. オープンライセンスの枠組みへの理解と利用を促進する
オープンライセンスによって、世界中で教材の再利用、改訂、リミックス、再配布を活発にする、この場合、オープンライセンスとは、著作権保持者の権利を尊重しつつ、様々な種類の利用を求める枠組みの広がりのことである。

e. 高品質学習材の持続可能な開発のための人材開発を支援する
地域のニーズと学習者の多様性に配慮しながら、高品質で利用しやすい教育資源を制作・共有できる教師やその他の人材の訓練や動機付を行い、組織を支援する。OERの質保証と相互評価(ピア・レビュー)を促進する。OERによって達成された学習成果の評価と認証のための仕組みの開発を支援する。

f. OERのための戦略的な連合を育成する
多様なメディアにおいてオープンライセンスの下に公開されてきた教材を共有する機会を創出し、教育機関、産業界、図書館、メディア・通信事業者の間で新たな戦略的提携関係(パートナーシップ)を構築し持続可能性を保証する目的で、進化する技術の利点を活用する。

g. さまざまな言語的・文化的な文脈でのOERの開発と適応を奨励する
OERの妥当性と利用可能性を保証するために、地域言語や多様な文化的文脈におけるOERの制作と利用を歓迎する。政府間機関(Intergovernmental organizations)は地域固有の知識と権利を尊重しつつ、言語や文化をこえたOERの共有を促進すべきである。

h. OERに関する研究を奨励する
OERに対する公的な投資の証拠(客観的根拠)を確固たるものとするために、OERの開発、利用、評価、再文脈化に関する研究やOERがもたらす可能性や挑戦に関する研究、そして教育と学習の品質と費用対効果に対するOERの影響に関する研究を育成する。

i. OERの検索、再利用、共有を促進する
個々のニーズに特化し関連性の高いOERを発見取得できるユーザーフレンドリーなツールの開発を推奨する。相互運用性を確実にし、多様なメディアでOERを利用することを促進するために、適切なオープンスタンダード(公開された技術標準)を採用する。

j. 公的資金により制作された教材のオープンライセンス化を推奨する
政府やそれに相当する公的機関が投資効果を最大化するために、公的資金によって開発された教材を(必要な制限を課した上で)オープンライセンスで確実に提供可能にすることによって、市民に実質的な利益をもたらすことができる。

2012-06-22

訳: JOCW幹事会(2015年)

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